評 review の RSS
評 review の静的版 とその ziptar.gz
表 top
評 reviews
称 about us

評への評の作成

あなたの名前 
あなたのメール 
 未登録またはログインしないままで評を書くと、その評は登録者によって書き換えられたり、準管理者によって削除されたりする可能性があります。 
暴力万歳 7巻まで
全科目学年一位の高校生男子・秋田正道は、このまま勉強して東大に行き、将来いい会社に就職して順風満帆な人生を送ろうと思っていた。不良にからまれたときも不本意ながらその場では謝罪してやりすごすことにした。しかし、突如現れた暴力女・六道せつながその不良をぶちのめし、ついでに正道のこともボコす。暴力こそがこの世で唯一のルールだと言って。青年マンガ。

まとめサイトを見ていてよくこの作品の広告が目につき、不敵な表情の女が「暴力万歳」の字を背負って笑っているのが気になって読んでみた。おもしろかった。

この作品で扱っている暴力というのは、平たく言うと「何でもありの喧嘩」のこと。ルール無用で金的や目玉などへの急所攻撃や噛みつきなどそれこそなんでもあり。なぜなら、人にルールを守らせる社会や警察などの力が必ずしも及ばないことがあるから。

秋田くんが不良に絡まれたのは校内だけど、人目につかないところはいくらでもあるし、生徒たちはたとえ暴力の現場を見ても関わりたくなくて見ないふりをしたり、おもしろがって見ているだけだったり、あるいは一緒になって暴力に加わったりするかもしれない。さすがに先生が現場を見たら問題になるけれど、大したことなさそうだったらスルーする。

仮に暴力を受けた場合、病院に行って怪我の度合いによって診断書をとって学校に対処を求めたり、あるいは警察に通報して捜査してもらったりすることもできる。そうして解決することもできるかもしれないけれど、怪我しない程度に殴られたり、証拠や証言がないと決め手にならず結局逃れられてしまうかもしれない。また、暴力をちらつかされただけで屈服させられることも多い。

とまあそういう社会的なテーマはひとまず置いておいて、この作品のヒロインである六道せつなは喧嘩が大好きな大女なので、暴力の現場に遭遇した彼女はただ喧嘩したいがためにその不良に喧嘩を売るw

不良のほうは空手で全国二位の実力者だったんだけど、せつなにとっては相手にならなかった。彼は競技空手でいつも寸止めしていて拳が軽いってこともあるんだけど、しょせん格闘技はルールの上で行うものだからで、それは比較的なんでもありな総合格闘技であっても同様だった。

さすがになんでもありだと相手の眼球を潰したりとかで人体の不可逆的な損壊を招くと問題になってさすがに社会的に制裁されるだろうけど、そのあたりの線引きはこの作品では明確に描かれていなかった。

そんな暴力に直面し影響された秋田くんは、六道せつなに喧嘩を教わろうとする。もちろん彼女からすれば彼に暴力を教えてやる理由はなかったのだけど、なんだかんだで秋田くんにプライドみたいなものを感じて好感を持ち、自分の考え方を理解した彼を指導するようになる。

これまでの秋田くんは勉強に全振りしていて平和主義だったようにみえるけれど、彼の行動の原動力は結局のところ自分が他人に勝利することであり、そのための手段としての暴力もあるのだと知っただけのことだった。そんな人間としてのありようが六道せつなと共鳴したみたいだった。非常に説得力があると思った。せつなを後ろから不意打ちしようとしたりw

ここからの展開は喧嘩版「はじめの一歩」みたいになり、喧嘩のやりかたを覚えながら地下格闘技に参加させられたり、喧嘩リアリティショーみたいな番組に出たりして実力を確かめていく。喧嘩の素人だった秋田くんがいきなりいろんなことをできるわけがないので、彼にでもできることを一つずつ教わっていく。まじめな彼は半信半疑ながらもきっちりと練習して身に着けていく。喧嘩の原理みたいなものが確かな説得力を持って描かれていてとてもおもしろかった。

なんでもありだったら武器を持つのが一番じゃん、という一見身もふたもないことに対しても答えを出していて驚いた。まあナイフだけなので、唐辛子スプレーとかどうすんだと思わなくもないけど。あと徒党を組むとか。

絵は、ヒロインの六道せつなのビジュアルが表紙ほどかわいくなかったのがちょっと残念だった。大柄でちょっとふくよかな感じ。泣きボクロ?が特徴的で強い意志を持った感じのまあまあかわいい女ではあるんだけど。作者は女の子を描くのが苦手なのかなと思ったけど、しばらくしたら妙齢の女子プロレスラーが出てきてこいつはしっかりかわいかったのであえてそう描いているんだと思う。

自分はどちらかというと頭を使って勝負してきた人間なのでもちろん暴力は否定する立場にあるんだけど、世の中から戦争や犯罪が無くならないように暴力の存在を否定することはできない。また、この作品のテーマからは外れるけれど、人と人とのつながりを武器に戦っている人もいる。たぶんいまの日本ではそれが一番強そうなんだけど、人を従えるにももちろん暴力やその他の能力を使う。生きることとは戦うことだし、ただ相手を否定して勝ち負けを自分の中でうやむやにしようとしてもそれはただ逃げているだけに過ぎない。そんな事実をこの作品は突きつけてくれているように思った。

とまあそんな格闘マンガとしておもしろいだけでなくその枠を超えた哲学的な問いまで読者につきつける素晴らしい作品だと思うので、興味を引かれたらぜひ読んでみるといいと思う。
題名*
 コメントを一言で要約して題をつけて入力してください。 
中身*
 必ず日本語を入れてください(SPAM対策)。 
 コメントを書いてください。 
評価 *
 この事物に明確な評価を与えてください。現在のところ 最高(+50) 傑作(+30) まあまあ(+10) いまいち(-10) 駄作(-30) 最低(-50) の六段階評価となっています。0 つまり平凡だという評価を下すことはできませんが、省略することもできます。 


確認画面(プレビュー)があります

Copyright © manuke.com 2002-2026 All rights reserved.