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働きマン 1巻
雑誌の編集者のヒロインが、若くて恋人がいるにもかかわらず仕事にのめりこむ様子を描いた作品。

働くがブームらしい。最近読んだ糸井重里もそんなことを言っていた。ブームってのはこうして作るんだね。人材派遣会社とか転職斡旋業が景気良さそうだし。

にしても本当に働くのが好きな人ってどのくらいいるのだろう。私の周りで、働くのが好きっていう人はあんまりいなかった。ただ、資格とって残業いとわず積極的に転職していった人ってのが今の職場に何人もいて、そういう人ってのは働くのが好きなんだろうかと思ったりしなくもないけど、それは単なる上昇志向なだけだと思う。本当に働くのが好きなら、給料とか仕事の内容とかどうでもいいと思うはずだし。あ、内容は自分の好きなことがしたいってか?そりゃ仕事が好きっていうんだろうか。

私がこれまで経験してきた仕事の中で、一番有意義な仕事といえばアレだと思うのだが、そこの職場環境は最悪だった。臨時に設けられた会議室の一角で、空調の音がうるさい工場のような場所に、長机と丸椅子、数年前のパソコンとチラつくモニタ。私は本当に腹を立てた。いくら仕事がやりがいあっても、これはないだろうと。だからいつも定時で帰っていた。残業してまで仕事の質を上げたり保ったりしようとは思わなかった。モニタを見すぎたら目が悪くなりそうだし、椅子に座りすぎると腰が悪くなりそうな環境が悪いのだ。

なんかレビューとは全然関係ない話をしているのだが、いくら大好きな安野モヨコの本だろうと、働くをテーマにされてもあんまりうなずけないのだ。そりゃああんたは好きで漫画描いてるでしょうよとまで言う気はないのだが、もっと世の大勢を見てみようよと言いたくなる。がそこはやっぱり世論を動かしちゃう人なんだろうね。フリーターが多い、みんな真面目に働こうよ、という世の中の流れもあって、また時の人になっちゃったりするんだろうな。そんでもって本当に世の中を少しでも動かしちゃうんだろうなと、斜に構えてしまう。

さてそろそろ本の内容も書いておこう。

主人公が相変わらず魅力的。言うことなし。さすが。態度のでかい新人くんとか、ちょっと熱いけどベタじゃないかっこいい中年の編集長、脇役たちも存在感があっていい。

雑誌の編集部ってどんなことやってるの?っていうのが分かるのが私にとって結構大きかった。これ多分週刊SPAあたりをモデルにしてるんだと思うんだけど、企画会議とか、取材から記事にしていく様子とか、とても興味深かった。なんかリアル。ついつい自分ならどうだろうと身を置いて考えてしまう。雑誌の編集者にもなりたかったなぁと思っていた時代は過ぎ、どの仕事もやっぱ大変だわーと思ってしまう。

色々考えさせられる作品だけど、続刊はどうでもいいやって感じ。色恋がほとんどないし、ヒロインの恋人の描かれ方が淡白。ホテルマンの活躍を描いた作品なんだったっけ、あれみたいに賛美賛美で一色になってしまうとしらけてしまう。安野モヨコのことだからすごい腕で読者を釘付けにしてしまうんだろうと半分思ってるのだけど、それでもちょっと不安だなぁ。
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