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幻想水滸伝4
中国の四大古典文学の一つである水滸伝の様式をベースにした、独自のファンタジー異世界で108人の仲間を集めて戦う人気コンピュータRPGシリーズの第四弾。本作の舞台は大海原と群島と船。商会を表に立てて干渉してくるクールーク皇国に立ち向かう主人公たちの活躍が描かれる。

本シリーズを知らない人のために少し説明すると、世が乱れてくると主人公の行動によって徐々に仲間が集まっていき、本拠地を定めて一つの勢力を作り、最終的に敵の大軍を打ち破る。108人も仲間がいると把握するのが大変そうだし、RPGなんだから使わないキャラが出てくるんじゃないかという心配があるが、戦闘要員だけでなく生産要員やサポートメンバーもいて色々な面で主人公を助けてくれる。ただし基本はRPGなので、自分の気に入ったキャラや強いキャラを選んでパーティを組み、大海原や島々やダンジョンを駆け巡り敵と戦い冒険することがメインとなる。一方で、敵の勢力下に置かれた街を解放するためなどで時折マスコンバット(戦争)が行われる。

本作だけの特徴は、舞台が海と群島になり、本拠地がなんと大きな船(実はちょっとネタバレかも)になっていることだろうか。当然、マスコンバットは海戦となる。これまでのシリーズの常識を破った素晴らしい設定だと私は思う。船というのは生活空間があるもので、色んなスペースが無理なく詰め込まれている。主要メンバーの個室や溜まり場となっているサロンや各種の店、シリーズでおなじみの図書館や銭湯や食堂なんかもある。ちょっと開放感がないのはしょうがないところか。

序盤、主人公は島嶼にある騎士団の見習い団員として試験や任務をこなしていく。途中で事件がおきて運命が転がり始める。ちょっとマップが広いものの、やれることが適度に絞られていて期待の持てる滑り出しだった。戦闘のシステムもこれまでとあまり変わらない。三作目がちょっと変わっていたのだが結局元に戻ってしまったようだ。発展が見られないところは残念。

さてストーリーが進み始めるとクエスチョンマークが浮かび始める。真の罰の紋章のなりゆき、海賊の来襲、あらぬ嫌疑、ストーリーは流れ流れて主人公がリーダーに押し上げられる。正直わけが分からなかった。クリアした今となって振り返ると、真の罰の紋章のこの世界での価値が私には最初よく分かっていなかったのだと思う。だから、すべての展開が不自然に見えて、話に入っていけなかったのだろう。真の罰の紋章まわりの演出は色々あるのだけど、どうも私という一プレイヤーを納得させるには至らなかった。

中盤に差し掛かり、何をやればいいのか分からなくなることがたびたびあった。今振り返ると、その間は「仲間を集める」ことが目的だったのだが、仲間を集める動機みたいなものがよく分からなかった。もうちょっと何か別の目的を用意してくれてもいいと思う。仲間を集めるだけの目的でウロウロするのは、ストーリーから投げ出されたように感じてしまう。

海での移動がつらい。よく言われるのが船の操作方法で、どうやら説明書に操作方法が書いていないということでユーザーの不満が大爆発し、メーカーがあとになって慌てて公式サイトで説明したらしい。とりあえず私が買ったベスト版には一応操作方法が書いてあるのだが、まだ分かりにくい。一番のポイントは、徒歩も船もR1ボタンがダッシュ(移動速度アップ)になっていることで、このボタンを覚えないと特に船での移動が遅すぎる。エンカウント率も高いし。というかR1を使っても大海原だと景色が変化しないので移動がかったるい。同じく海を舞台にした任天堂のゼルダの伝説・風のタクトでは、ちゃんと移動中も退屈させない趣向、天候が変わるとか波がうねるとか色んな種類の敵が出るとかコインだかアイテムが出るとかがあった。こうして比べてみて初めて良いゲームがどういうものか分かるというのは面白い。

主人公がリーダーになってからの展開もストーリーに空回り感が強かった。特に、ナ・ナル島を味方につけるためのエピソードとか、敵勢力の会議の内幕、軍師を得るところ、オベル王まわり、スノウやアマダの心情あたり。なんだろう。元々のストーリーに無理があったのか、それともうまく脚本にブレイクダウンできていないのか。ストーリーの要約文みたいなものが仮にあったとしたらうんなるほどと読めるのかもしれないが、実際に展開してみるとあれ?って思うような感じだろうか。スケジュールの都合で最低限のモーションやスクリプトしか作れなかったのだろうか。それとも、ストーリー自体がそもそも借り物を中途半端に集めてきたようなものだからだろうか。近頃の作品はそういうのが多い。

第三作の完成度があれだけ高かったのに、この四作目は一体どうしてしまったのだろうか。発売直後ビックカメラで一時期ワゴンセール980円で売られていたのを見た。在庫調整のためだったのかすぐに消えてしまったのだけど。前作の評判が分かれたことが本作の売上に影響したのかな?

それでも本作にはいくつか光るところがあった。海戦はシリーズ中一番スリリングなマスコンバットだと思う。船のグラフィックスにも力が入っており、それぞれの船に特徴があって魅力的だ。通常の戦闘でのモーションやエフェクトも美しくて爽快感があっていい。音楽は曲数が少ないし目だって良い曲は無かったが悪くはない感じ。オープニングのcobaのアコーディオン主体の音楽もなんだか聴きなれた感じはしたが良い曲だと思う。オープニングムービーと合わせて完成度が高い。

ストーリーに関しては、終盤になってある事実が二つ明かされ、真の罰の紋章をめぐる一本の流れが見えたことで、なんとか私は一応の満足をすることができた。演出上あまり露骨に説明しないようにしているのだとは思うが、もうちょっと分かりやすくしてくれたほうが良かったんじゃないだろうか。演出について言えば、本シリーズの運命的な解説をしてくれるレックナートの登場シーンや台詞まわしが、ちょっとゾクッするほど良かった。正直話の内容はよく分からないのだけど。

今回は真のエンディングとやらが本当にちょっとしたものにすぎず、見なくてもいいんじゃないかとさえ思えた。あれ。私が最後の選択を間違えてしまったのだろうか。攻略サイトに書いてある通りにやったのだけど。

正直本作は、本シリーズのほかの作品をやってファンになった人だけがやればよくて、それ以外の人は他にいいゲームを探したほうがいいと思う。といってもあまり良いゲームがなくなってきたか。本作は決して駄作ではないし、ほどよい歯ごたえのある比較的良いゲームバランスが保たれ、楽しもうと思えばいくらでも楽しむ要素を用意してくれている、それなりにやりがいのあるゲームだと思う。ただ私は、プレイして良かったと思うまでには至らなかった。
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