| 回復術士のやり直し コミカライズ版 15巻まで |
【癒】の勇者ケヤルは回復しかできなかったため、ジオラル王国の第一王女フレアに薬漬けにされていいように利用される。一行が魔王を倒したとき、賢者の石を使って時間を巻き戻すことに成功したケヤルは、すべてが始まる前からやり直して復讐を誓う。青年向けファンタジー小説のコミカライズ版。
2021年にアニメ化されたのを見てとてもおもしろかったのに加え、いいところで終わってしまったのでいつか原作を読もうと思っていたのだけど、いまになってしまった。
復讐ものは数あれど、この作品は本当に主人公の境遇がヒドいと思う。騙されたとか命を狙われたとかそういうレベルじゃなくて、薬漬けにされて薬のためになんでも言うことを聞かされて犬のマネだとかさせられるだけでなく、ガチホモ野郎がいてこいつに日々犯されたり性悪女から股間を踏みつけられたりする。よくこれアニメ化できたものだと思った。
いくら時間を巻き戻したところで回避できないことも多いので、まずは薬漬けにされることを前提に薬物耐性を身につけるために毒キノコをむさぼり食う。王女の言うことに表面的には何もしらないかのように従い、虎視眈々と復讐の機会をうかがう。
主人公ケヤルは回復術士なので傷なんかを治癒する回復の術しか使えないと思いきや、彼の術は傷を負う前の状態に戻すという超強力なものだった。そのとき傷を負った人の当時の記憶が術者本人に返ってくるので非常な苦痛を伴う代わりに、その人の経験をも身につけることができるという特殊な技能だった。
体の状態を元に戻せるなら、そのとき改変もできるという理屈で、なんと相手の体を破壊したり自分の意のままに作り替えたりすることができる。なんでもかんでも回復の術ってことにして「改悪」などの言葉に全部「ヒール」のルビを振っててウケた。
いまさらだけど主人公の少年の名前がケヤルなのはもうほぼファイナルファンタジーシリーズの回復魔法「ケアル」をもじっているはず。その後、ケヤルが姿かたちを変えたときに名乗ったのが「ケヤルガ」だし、女体化したときに「ケアーラ」と名乗ってるのが全部その回復魔法の強化版っぽいのがおもしろすぎる。
自分がヒドいめに合っているので、復讐も凄惨なものとなる。自分が尊厳を奪われた上に性的に虐待されているので、同じような行為を相手に対してすることが正当化される(?)。カタルシスがすごいし、読んでいて加虐的な快感がある。
そんなケヤルが復讐を果たすには一人だけでは難しいので仲間を増やしていく。ジオラル王国に虐げられていた獣人で氷狼族の少女セツナを助けて復讐の手助けをしてやるほか、ケヤルが最初に治癒した剣聖クレハを仲間に引き入れたり、なんと第一王女フレアを改変して自分に従順な女に仕立て上げてその強力な魔術を利用したりする。
これ洗脳みたいになっちゃってるのがちょっと残念に思った。調教っていうと変態じみているけれど、徐々に言うことを聞かせていく展開だったらもっとゾクゾクしたと思う。そのほうが復讐としても強いし。従順な女が一人増えたところで大したことなかった。
物語はいったん王国を離れ、魔族との戦いが繰り広げられている辺境へと舞台を移す。そこで魔王候補で黒翼族の女の子イヴと出会ったケヤルは、やりなおす前に魔王だった彼女の最後の一言が気になり、彼女を助けて魔王の座につかせようとするが、魔族の他の部族との戦いに巻き込まれる。
そんなこんなでいつのまにか復讐のことを考える頻度が下がり、ケヤルは自分がモノにしてきた女たちのために動くようになる。復讐に熱狂していたのはせいぜいアニメ化された4巻ぐらい?までだし、この作品で一番おもしろかったのはそこまでであとは自分にとってはだんだん平凡なハーレムファンタジーものになっていってしまった。自分が読むのをやめた15巻までの展開はまるで少年マンガのバトルもののようだった。
ただ、ケヤルにとって復讐が徐々に目的ではなく手段(?)になっていくのがなんともリアルというか真に迫っていてよかった。ふるさとの村を焼かれても、もう彼には哀しみという感情が振り切ってしまい、自分を復讐に駆り立ててくれてありがとうとすら思うようになる。
絵は正直ちょっと荒いんだけど女の子はかわいかったし男キャラもよかったと思う。ケヤルは美少年ってわけじゃないんだけど少年愛の性癖を持つ男にとってなんともそそる外見をしているというのが絵的にも説得力があった。身バレを防ぐために早いうちにケヤルガに変身して不敵な見た目になっちゃうんだけど。
サブスクとかに入っているならアニメ見たほうがいいかもしれないけど、その後の話も楽しみたいならこのコミカライズ版や原作小説を読んでみるといいと思う。
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