マンガ
日常もの
げんしけん
木尾 士目
傑作(30点)
2004年10月26日
大学のオタクサークルの日常を描いたマンガ。突如サークル入ってきた高坂君は、かわいい顔をしてるが天真爛漫でハードなオタク。高坂君のオタクじゃない彼女にサークルがかき回される。多分本当は違うのだろうけど、そう言った方が真実を突いているだろう。
題名の「げんしけん」とは、なんてことはない、現代視覚文化研究会の略である。題名を聞いて表紙の絵と共に気になっていた私からするとうまい命名である。
主人公は笹原というオタクをカミングアウトしたばかりの新入生なのだが、いたって影が薄い。一番重要なキャラは、春日部咲という主要人物の中では唯一のノーマルキャラだろう。オタクなヒロインも一人出てくるが、強烈な突っ込み役であり振り回されキャラでもある彼女がこの作品を支えている。
なんというか、オタクってのは地に足がついていない存在なのだなとつくづく思った。ノーマルキャラのヒロインを用意して突っ込んでもらうことでしか自分たちを存在させる場所がないのだろうか。このヒロインは、オタクたちが想像する「ふつうの女性」つまり遊んでいる女性だ。そして、オタクたちとこのヒロインを結び付けている超人的な存在が、イケメンだけどハードなオタクの天然キャラである高坂君。なんとも強引な設定で、強力に登場人物を接着させている。この設定は見事だ。が、ありえねー、このキャラ。
とここまで突き放したことを書いてきたが、私はこの作品が好きだ。実のところ大した作品ではないと思うのだが、私が好きになる要素を押さえている。この作品を読み終えて思ったのは、冴えない男どもにかわいい女の子が一人二人いるグループというのは、最高のファンタジーなのだということ。こういうグループに入ってダラダラと日常を送りたいと願うのは私だけではないはずだ。
でもちょっとエッチ系に走りすぎていて不快に思う。同人誌というエロマンガを扱った作品なので当然といえば当然なのだが、それ以上にノーマルキャラであるはずの春日部が走りすぎていて、オタクたちがひくという流れになっている。だがそれを含めて、オタクたちの考えるところのノーマルな女性に対する微妙な感情が描かれていると考えると、それもまた見事だなと思う。
ちょっと人には薦めづらい作品だ。正直、自信を持って薦めることが出来ない。面白いかどうかも微妙だ。春日部咲と高坂君がかき回しているエンターテインメント性を除けば、この作品はこう言ったら変だろうが純文学という感じがする。オタクをとことん自虐的に描いてギャグにするほうが面白かったのかもしれないが、それをメインにしなかったところにこの作品の妙味がある。
題名の「げんしけん」とは、なんてことはない、現代視覚文化研究会の略である。題名を聞いて表紙の絵と共に気になっていた私からするとうまい命名である。
主人公は笹原というオタクをカミングアウトしたばかりの新入生なのだが、いたって影が薄い。一番重要なキャラは、春日部咲という主要人物の中では唯一のノーマルキャラだろう。オタクなヒロインも一人出てくるが、強烈な突っ込み役であり振り回されキャラでもある彼女がこの作品を支えている。
なんというか、オタクってのは地に足がついていない存在なのだなとつくづく思った。ノーマルキャラのヒロインを用意して突っ込んでもらうことでしか自分たちを存在させる場所がないのだろうか。このヒロインは、オタクたちが想像する「ふつうの女性」つまり遊んでいる女性だ。そして、オタクたちとこのヒロインを結び付けている超人的な存在が、イケメンだけどハードなオタクの天然キャラである高坂君。なんとも強引な設定で、強力に登場人物を接着させている。この設定は見事だ。が、ありえねー、このキャラ。
とここまで突き放したことを書いてきたが、私はこの作品が好きだ。実のところ大した作品ではないと思うのだが、私が好きになる要素を押さえている。この作品を読み終えて思ったのは、冴えない男どもにかわいい女の子が一人二人いるグループというのは、最高のファンタジーなのだということ。こういうグループに入ってダラダラと日常を送りたいと願うのは私だけではないはずだ。
でもちょっとエッチ系に走りすぎていて不快に思う。同人誌というエロマンガを扱った作品なので当然といえば当然なのだが、それ以上にノーマルキャラであるはずの春日部が走りすぎていて、オタクたちがひくという流れになっている。だがそれを含めて、オタクたちの考えるところのノーマルな女性に対する微妙な感情が描かれていると考えると、それもまた見事だなと思う。
ちょっと人には薦めづらい作品だ。正直、自信を持って薦めることが出来ない。面白いかどうかも微妙だ。春日部咲と高坂君がかき回しているエンターテインメント性を除けば、この作品はこう言ったら変だろうが純文学という感じがする。オタクをとことん自虐的に描いてギャグにするほうが面白かったのかもしれないが、それをメインにしなかったところにこの作品の妙味がある。
(最終更新日: 2004年10月29日 by ひっちぃ)