xDSD Gryphon
ifi Audio
まあまあ(10点)
2025年11月24日
イギリスのオーディオ機器メーカーifi audioが出したBluetoothヘッドホンアンプ。Bluetoothでスマートフォンから接続してヘッドホンで音楽を鳴らすのが主目的のほか、USBや光デジタルやアナログ音声での入力も可能で、インピーダンスの低いイヤホンも鳴らせるのが特徴。
自分は同社のポータブルヘッドホンアンプmicro iDSD Diabloを持っているんだけどBluetooth接続機能がついていないのでshanling M0をBluetoothレシーバー兼USBトランスポーターとして間に挟むことにより実質的に高性能なBluetoothヘッドホンアンプとして使っている。だから同じ会社のBluetoothヘッドホンアンプはもう要らないという結論に一度はなったんだけど、この組み合わせだと重くて非常にかさばるし若干接続が不安定なこともあった。そこへ今回この全部入りのGryphonが実質五万ちょっとで投げ売りされだしたので、shanling H2よりもいい音を求めて買ってみた。機能や音質には満足がいったけど、もともとの価格や手持ちの機器との相性でやや不満を感じた。
これを書くにあたり改めて製品情報のページを見てみたら、鷲または鷹の上半身とライオンの下半身を持つ神話上の合成獣グリフォンの名を冠しているとおり、Bluetoothで音を飛ばせる上に音質もいいぞという狙いの命名になっていることがわかった。って製品説明を読むと実際にはデジタルとアナログの両立としか書いてなかった。だったらいまどきのヘッドホンアンプすべてに言えるのでは?
さっそく音について言うと、さすがにDiabloには及んでいなかった。Gryphonを買って一か月半たったいま、気分的に可能な限りDiabloを持ち出している。ただ、逆に言えば当初の期待どおりGryphonでもいいやと思える日が時々あるなあという程度ではあると思う。
その一番の理由は音作りだと思う。一言で言えばエッジが立っていて加工された音になっている。中低域をある程度しっかりと鳴らしつつ倍音を増やしている感じだろうか。beyerdynamic Aventho wiredが小気味よく鳴ってくれた。たぶん自分の手持ちの中では一番相性がいいと思う。ただ、Diabloのパワーを注ぎ込むともっと気持ちよく鳴ってくれるんだけど。力こそパワーだったw
残念ながらUltrasone Signature Master MkIIとの相性は微妙だった。というのもこいつも高域を加工してしまっているので、Gryphonの倍音ブースト(?)と重なって少し耳障りに感じる時がある。その点Diabloは素直に音を出してくれる上に、そのパワーで高域をより心地よく鳴らすことができた。
beyerdynamic T5p 2ndとの相性も微妙だった。こいつは高い解像度を求めてくるためGryphonでは音が荒かった。Diabloも正直解像度が低めなんだけど、それでもパワーで押し切れる分、割と鳴ってくれていたと思う。
ついでに言うとT5p 2ndは繊細かつパワーを要求してくるため、Astell & Kern SE100ではうまく鳴ってくれなかった。SE100で駆動できるヘッドホンは自分の手持ちの中ではGrado the Hemp Headphone v2だけだと思う。Kowon Plenue Sは解像度低めでパワーもそれほどないけど美音で鳴らすことができるためT5p 2ndとの相性はそれほど悪くなかった。でもやはり解像度を高く鳴らしたいので最近ではそこそこパワーもあるQudelix 5k一択となっている。
最後にFostex T60RPも試してみた。割といい感じに鳴ってくれたけど、そこまで気持ちよくなかった。どうしても脈動感が足りないし、解像度の低さを感じてしまう。やはりGryphonやDiabloの音作りはダイナミックヘッドホンを気持ちよく鳴らしてくれるチューニングなんだと思う。
ちなみにT60RPはバランス接続に対応するため4軸3.5mmのケーブルが使える一方、GryphonもS-Balancedと称して4軸3.5mmにも対応しているため、なんとステレオ音声+マイク用のストレートケーブルがそのままバランス接続に使える。たまたまヨドバシカメラにて500円で投げ売りされていたケーブルを買って試してみたらちゃんと鳴ってくれた。さすがに音質のことは大して考慮してなさそうな感じだったけど(ちょっとケーブルが硬くてタッチノイズもあった)ちゃんと聴ける音だった。
というわけで自分はGryphonでは基本的にbeyerdynamic Aventho wiredを鳴らし、時々Ultrasone Signature Master MkIIを使うようにしている。シグマス2だったらshanling H2のほうがいいんじゃないかと思うこともある。…と思って改めて聞いてみたら普通にGryphonのほうが音がよく感じた。H2のほうが素直な音ではあるんだけど。
次に機能面について言うと、まずデジタルボリュームなのが大きいと思う。Diabloはギャングエラーつまりボリュームが低い状態での左右のバランスが偏る現象がひどくて音量取るのがギリギリだったし、パワーが強すぎてツマミをちょっと回すだけで耳が死ぬ(!)恐怖があった(ちなみにDiablo 2ではツマミを固定するギミックがついた)。デジタルボリュームにはギャングエラーがないし、音量が急激に変わることもなく調整しやすい。
入力が豊富で、Bluetooth接続以外にもUSBやデジタル入力のほか、なんとアナログ入力まである。…正直USB入力だけでよかったと思う。デジタル入力やアナログ入力でつなげると携帯性が大きく損なわれる。Gryphonを据え置いて使う人は非常に限られているんじゃないだろうか。USB接続ができるのはスマホと直結できるメリットがあっていいと思うんだけど。
出力に関してはヘッドホン出力が4.4mmバランスと3.5mmバランス/アンバランスのほか、ライン出力として4.4mmバランスと3.5mmアンバランスまである。一体どういう人が使うのか甚だ疑問だった。ちなみにライン出力3.5mmはライン入力と端子が共用になっているので注意。
XBass IIという機能でBass(低域)をブーストしたりPresenceつまり存在感のある中高域を強化したりできる。素の音質でそこまで勝負しないGryphonにはいい機能だと思う。
XSpaceというスピーカーのような音響効果が得られる機能もついている。左右のスピーカーから出た音は左の耳にも右の耳にも入ってくるのでDSPにより左右の音をミックスして音に広がりを持たせているらしい。
インピーダンスの低いイヤホンをつないだときに出てしまうノイズを抑えるための(?)iMatchという機能もついている。正直Diabloにこの機能が欲しかったw Gryphonでイヤホンも鳴らしてみたけど、正直まったく必要を感じなかった。自分がそこまでインピーダンスの低いイヤホンを持っていないからかもしれないけど。はっきり言ってGryphonで解像度の高いイヤホンを鳴らすこと自体無駄だと思う。ヘッドホンに近い特性を持つsennheiser IE800なんかは割と気持ちよく鳴ってくれたけど。
ボディのデザインと質感がとてもよかった。黒光りしている。ボタンや端子の配置に関しては、可能な限り入力端子を上部に配置してほしかった。下部にあると携帯時に使えないから。あとモード切替のボタンを最初間違ってよく押してしまっていた。
Bluetooth接続時のコーデックは一通り対応している。自分はLDAC一択なんだけど、Apt XやAACも使えるので古めのAndroid互換機やiPhoneとの接続にも困らないし、SBCも抑えてあるのでなにかしらつながる。将来的に中華が覇権をとったとしてもLHDCが使える。
自分にとっては正直な感想として別に買わんでもよかった製品だったと思うけど、音楽的な音作りはよかったと思う。問題は、その音作りを完全にはオフにできないことと、発売当初は値段が高かったことだろうか。ちょっととがった音作りのヘッドホンさえ使わなければいいので、値段が落ち着いていれば悪くない選択ではあると思う。
自分は同社のポータブルヘッドホンアンプmicro iDSD Diabloを持っているんだけどBluetooth接続機能がついていないのでshanling M0をBluetoothレシーバー兼USBトランスポーターとして間に挟むことにより実質的に高性能なBluetoothヘッドホンアンプとして使っている。だから同じ会社のBluetoothヘッドホンアンプはもう要らないという結論に一度はなったんだけど、この組み合わせだと重くて非常にかさばるし若干接続が不安定なこともあった。そこへ今回この全部入りのGryphonが実質五万ちょっとで投げ売りされだしたので、shanling H2よりもいい音を求めて買ってみた。機能や音質には満足がいったけど、もともとの価格や手持ちの機器との相性でやや不満を感じた。
これを書くにあたり改めて製品情報のページを見てみたら、鷲または鷹の上半身とライオンの下半身を持つ神話上の合成獣グリフォンの名を冠しているとおり、Bluetoothで音を飛ばせる上に音質もいいぞという狙いの命名になっていることがわかった。って製品説明を読むと実際にはデジタルとアナログの両立としか書いてなかった。だったらいまどきのヘッドホンアンプすべてに言えるのでは?
さっそく音について言うと、さすがにDiabloには及んでいなかった。Gryphonを買って一か月半たったいま、気分的に可能な限りDiabloを持ち出している。ただ、逆に言えば当初の期待どおりGryphonでもいいやと思える日が時々あるなあという程度ではあると思う。
その一番の理由は音作りだと思う。一言で言えばエッジが立っていて加工された音になっている。中低域をある程度しっかりと鳴らしつつ倍音を増やしている感じだろうか。beyerdynamic Aventho wiredが小気味よく鳴ってくれた。たぶん自分の手持ちの中では一番相性がいいと思う。ただ、Diabloのパワーを注ぎ込むともっと気持ちよく鳴ってくれるんだけど。力こそパワーだったw
残念ながらUltrasone Signature Master MkIIとの相性は微妙だった。というのもこいつも高域を加工してしまっているので、Gryphonの倍音ブースト(?)と重なって少し耳障りに感じる時がある。その点Diabloは素直に音を出してくれる上に、そのパワーで高域をより心地よく鳴らすことができた。
beyerdynamic T5p 2ndとの相性も微妙だった。こいつは高い解像度を求めてくるためGryphonでは音が荒かった。Diabloも正直解像度が低めなんだけど、それでもパワーで押し切れる分、割と鳴ってくれていたと思う。
ついでに言うとT5p 2ndは繊細かつパワーを要求してくるため、Astell & Kern SE100ではうまく鳴ってくれなかった。SE100で駆動できるヘッドホンは自分の手持ちの中ではGrado the Hemp Headphone v2だけだと思う。Kowon Plenue Sは解像度低めでパワーもそれほどないけど美音で鳴らすことができるためT5p 2ndとの相性はそれほど悪くなかった。でもやはり解像度を高く鳴らしたいので最近ではそこそこパワーもあるQudelix 5k一択となっている。
最後にFostex T60RPも試してみた。割といい感じに鳴ってくれたけど、そこまで気持ちよくなかった。どうしても脈動感が足りないし、解像度の低さを感じてしまう。やはりGryphonやDiabloの音作りはダイナミックヘッドホンを気持ちよく鳴らしてくれるチューニングなんだと思う。
ちなみにT60RPはバランス接続に対応するため4軸3.5mmのケーブルが使える一方、GryphonもS-Balancedと称して4軸3.5mmにも対応しているため、なんとステレオ音声+マイク用のストレートケーブルがそのままバランス接続に使える。たまたまヨドバシカメラにて500円で投げ売りされていたケーブルを買って試してみたらちゃんと鳴ってくれた。さすがに音質のことは大して考慮してなさそうな感じだったけど(ちょっとケーブルが硬くてタッチノイズもあった)ちゃんと聴ける音だった。
というわけで自分はGryphonでは基本的にbeyerdynamic Aventho wiredを鳴らし、時々Ultrasone Signature Master MkIIを使うようにしている。シグマス2だったらshanling H2のほうがいいんじゃないかと思うこともある。…と思って改めて聞いてみたら普通にGryphonのほうが音がよく感じた。H2のほうが素直な音ではあるんだけど。
次に機能面について言うと、まずデジタルボリュームなのが大きいと思う。Diabloはギャングエラーつまりボリュームが低い状態での左右のバランスが偏る現象がひどくて音量取るのがギリギリだったし、パワーが強すぎてツマミをちょっと回すだけで耳が死ぬ(!)恐怖があった(ちなみにDiablo 2ではツマミを固定するギミックがついた)。デジタルボリュームにはギャングエラーがないし、音量が急激に変わることもなく調整しやすい。
入力が豊富で、Bluetooth接続以外にもUSBやデジタル入力のほか、なんとアナログ入力まである。…正直USB入力だけでよかったと思う。デジタル入力やアナログ入力でつなげると携帯性が大きく損なわれる。Gryphonを据え置いて使う人は非常に限られているんじゃないだろうか。USB接続ができるのはスマホと直結できるメリットがあっていいと思うんだけど。
出力に関してはヘッドホン出力が4.4mmバランスと3.5mmバランス/アンバランスのほか、ライン出力として4.4mmバランスと3.5mmアンバランスまである。一体どういう人が使うのか甚だ疑問だった。ちなみにライン出力3.5mmはライン入力と端子が共用になっているので注意。
XBass IIという機能でBass(低域)をブーストしたりPresenceつまり存在感のある中高域を強化したりできる。素の音質でそこまで勝負しないGryphonにはいい機能だと思う。
XSpaceというスピーカーのような音響効果が得られる機能もついている。左右のスピーカーから出た音は左の耳にも右の耳にも入ってくるのでDSPにより左右の音をミックスして音に広がりを持たせているらしい。
インピーダンスの低いイヤホンをつないだときに出てしまうノイズを抑えるための(?)iMatchという機能もついている。正直Diabloにこの機能が欲しかったw Gryphonでイヤホンも鳴らしてみたけど、正直まったく必要を感じなかった。自分がそこまでインピーダンスの低いイヤホンを持っていないからかもしれないけど。はっきり言ってGryphonで解像度の高いイヤホンを鳴らすこと自体無駄だと思う。ヘッドホンに近い特性を持つsennheiser IE800なんかは割と気持ちよく鳴ってくれたけど。
ボディのデザインと質感がとてもよかった。黒光りしている。ボタンや端子の配置に関しては、可能な限り入力端子を上部に配置してほしかった。下部にあると携帯時に使えないから。あとモード切替のボタンを最初間違ってよく押してしまっていた。
Bluetooth接続時のコーデックは一通り対応している。自分はLDAC一択なんだけど、Apt XやAACも使えるので古めのAndroid互換機やiPhoneとの接続にも困らないし、SBCも抑えてあるのでなにかしらつながる。将来的に中華が覇権をとったとしてもLHDCが使える。
自分にとっては正直な感想として別に買わんでもよかった製品だったと思うけど、音楽的な音作りはよかったと思う。問題は、その音作りを完全にはオフにできないことと、発売当初は値段が高かったことだろうか。ちょっととがった音作りのヘッドホンさえ使わなければいいので、値段が落ち着いていれば悪くない選択ではあると思う。